SONYのMDステーションMZ-R5STを修理する(分解編)
イントロ
さすがに最近はMDを使う機会がない。アナログレコードやカセットテープとは違ってMDの復権はあまり期待できないと思う。なので、所有しているSONYのMDステーションMZ-R5STをヤフオクに出品することを考えている。この機種はS/PDIFの出力端子を備えているので、MD資産をPC等に取り込むのに使うという需要はあるだろう。まずは現状確認。
現状確認
イヤフォン&リモコンが見当たらない。散らかりまくっている部屋のどこかにあるかもしれないが、間違って捨てちゃった可能性もある。
付属のリチウムイオン電池が死んでいる。 外観上もなんか一部くすんでいるし、何度も充電を試みたが全く機能せず。色々と調べたら中に入っている電池は規格品らしく中国製のものが入手可能とのこと。しかし中国製のリチウムイオン電池は爆発が怖いのでとてもじゃないが採用できん。なので、リチウムイオン電池も欠品扱いとしよう。
ステーションの液晶表示がおかしい。 この現象はビネガーシンドロームというもので、液晶パネルの偏光板が劣化することにより生じるものらしい。ビネガーシンドロームに対しては偏光板を新しいものに交換すれば修理できるとのこと。これは面白そう。
アナログ音声のRCA出力レベルが左右で違う。具体的には右の音が小さい。またヘッドフォンの出力レベルも右の音が小さいし、全体的にも音が小さい。両出力ともレベルは小さいものの音は出ているし、デジタル出力だと左右の出力レベルは同じだったので、この不具合はアナログ回路周りのはず。古い機種なので電解コンデンサの劣化あたりに問題があるのかな?
その他の機能は正常に動作する。
分解確認
底板はネジ6本で簡単にはずせた。ネジ穴の近くに矢印が刻印されていて整備者にとって親切なデザインね。
開けてびっくりしたのだが、ニッケルカドミウム電池が内蔵されていた。MDの再生状況とかを記憶保存しておくためのものと思われる。でも正直そこまでやらんでもいいのに…と思うわ。
基板を取り外すとこんな感じ。基板を取り外す際には液晶側と接続するフレキシブルケーブル、メカ基板と接続するフレキシブルフラットケーブル、パネル基板と接続するフレキシブルフラットケーブルを取り外す。
危険なのでニッケルカドミウム電池を取り外したところ、液漏れで電池ホルダーの端子が腐食していることを発見。
さらに基板上の様子を確認するためにシールドをはずす。シールドは基板にはんだ付けされているのではんだ吸い取り線を使ってはずす。
さらに電池ホルダーもはずす。基板上の様子を確認するのに邪魔だし、液漏れで腐食した箇所を修理しないといけないからね。
基板をじっくり観察すると、電池ホルダーの液漏れ箇所周辺のパターンの様子がおかしい。液漏れにより回路基板も腐食してしまっているようだ。 チップの型番を調べてみると腐食箇所の周囲にあるものはAD/DAコンバータとオペアンプ。なので、アナログ出力・ヘッドフォン出力の信号レベルが低い問題はこれが原因と思われる。そこで、アナログ出力端子からAD/DAコンバータ周辺のアナログ回路までを追ってみた。アナログ回路の最終段はミュート用のトランジスタで、このトランジスタとアナログ出力端子(L)は抵抗値はほぼゼロで問題なかったが、トランジスタとアナログ出力端子(R)との間の抵抗値は10Mオーム程度あった。ビンゴ!ヘッドフォン出力についても同様の結果だった。またよく見るとアクティブスピーカー出力用のパターンにも同様の状態があることを発見した。導通状態がおかしいパターンは確かに途中腐食パターンを経由している。なので、これらはジャンパ線により修理していくことにする。
一方、液晶の方は、まず開閉式の液晶表示部を背面側のネジ2つをはずして前面パネルをはずす。 液晶表示部内は、液晶パネルとシート状のバックライトが重ねて配置されている。バックライトは液晶表示部内のコネクタ基板にはんだづけされているので、これはそのままにしておく。液晶パネルからのびるフレキシブルケーブルをコネクタ基板からはずして液晶パネルを取り出す。 見事なビネガーシンドロームですわ。これは定番どおり偏光板の交換で対応する。
これで分解はだいたい終わり。次は修理だ。
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